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【医院に聞く】歯科医院の差別化と実践

2019年7月25日(木)

ヒデ歯科クリニック 佐藤 秀雄 院長   佐藤 倫奈 副院長


埼玉県熊谷市石原1023-5


 


はじめに


「他院とどのように差別化したらよいだろう」


こんなお悩みをお持ちではありませんか。


 


競争激しい歯科クリニック経営では、患者を集めるために他院と差別化することは重要です。


 


そうはいっても、一体どのように自分たちの特徴を打ち出していけばいいのでしょうか。


今回は、小児歯科医療で成功しているクリニックの事例から、


「他院との差別化と実践」について紹介します。


 


ヒデ歯科クリニックの佐藤秀雄院長と佐藤倫奈副院長のご夫妻に、お話を伺います。


 


 


託児所から夏祭りまで、徹底的に子供に注力したサービスを提供


ヒデ歯科クリニックは、小児歯科医療に力を入れています。注力することになったきっかけは何ですか? 


 


秀雄院長:


副院長の幼少期の経験が大きいですね。小さい頃の口内環境というのは、永久歯が生え変わった後にも何らかの影響を及ぼすといわれています。ですから、小児の頃から予防歯科を定期的に受信することが重要なのです。子供の時の彼女は歯医者にトラウマがあり、大嫌いだったようです(笑)。だから、子供も楽しく通えるクリニックを目指そうと話し合いました。


 


倫奈副院長:


子供の頃、とある歯医者さんで4人のスタッフに押さえつけられて治療されたことがあります。その時の恐怖がトラウマになり、歯医者が苦手でした。歯医者に行く時に激しく嫌がって、毎度腕が脱臼してしまうくらい(笑)。私自身がそんな経験をしていますし、子供もいますので、親御さんもお子様も通いやすいクリニックを追及したいと考えたのです。


 


 


「りんりんキッズクラブ」というユニークなサービスを提供されていますね。


 


秀雄院長:


「りんりんキッズクラブ」は、子供たちが健康な歯を守り育てるため、自ら進んで定期的に来院することを目的に作った、0歳~12歳を対象とした会です。「キッズクラブノート」というものを独自に作っていて、来院ごとに溜まるスタンプラリー、治療結果を記すノート、親御さん向けの歯に関する読み物を1冊にまとめています。「キッズクラブノート」は、簡単に捨てられないように、お子さんの顔写真を貼ります。


 


倫奈副院長:


スタンプラリーは、たまったスタンプの数によって、おもちゃと交換できる仕組みです。これを励みに通ってくる子供たちも沢山います。


 



キッズクラブノートのスタンプカードページ


 



診療室に置かれた豊富なおもちゃたち


 


 


それだけではなく、託児サービスも提供されていますね。


 


秀雄院長:


託児サービスは、専属の保育士によるお子様の一時保育システムです。小児歯科のためというよりは、小さいお子さんがいらっしゃる親御さんのために提供しています。よくある受付付近に設置したキッズスペースではなく、個室を用意しています。


 


倫奈副院長:


小さいお子さんがいると、親御さんが自分のために歯医者に通うというのは中々難しくなります。しょっちゅう誰かに預けられるわけもないので、だったら私たちが環境を整えようということになりました。今は保育士さん2名を採用して、予約制で託児サービスを提供しています。大変好評で、予約はほぼ埋まっている状態です。もちろん、赤ちゃんのそばにいたいというお母さんもいらっしゃいますから、治療ベッドの足元にベビーベッドを設置するなどの工夫もしています。


 


 


先ほど診療所の壁に、貴院主催の「夏祭り」のお知らせが貼ってあるのを拝見しました。


 


秀雄院長:


地域貢献とブランディングを目的に、毎年夏に当院へ地域の子供たちを招いて開催します。クリニック内に、ヨーヨー釣り、キッザニアのような歯医者さん体験ブース、クイズブースなどを出して遊んでもらいます。こども銀行のような「お買い物券」を当院で作って配布し、それでゲームを楽しんでもらいます。夏祭りは毎年100名くらいの参加者がいます。


 


倫奈副院長:


歯医者さん体験では子供用の簡易白衣を着てもらって、終わった後は参加者にプレゼントしています。大体、20~30名の子供たちが毎回体験しています。当院を身近に感じてもらうには、とても効果的な試みだと思っています。


 


 


 
かわいらしいデザインのお買い物券


 


 


戦略的なマーケティング活動は歯科クリニックにとって重要


開業当初からこのようなサービスはあったのですか。


 


秀雄院長:


いえ。開業当初は、キッズスペースの設置と、ベビーベッドを診療台の足元に置くくらいでした。それでも、当時ではかなり先進的な取り組みだったと思います。本格的にこのような取り組みを始めたのは6年程前でしょうか。というのも、来院患者の分布をみてみると、子供が25%、その親御さんが35%と、当院のお客様の60%程度がご家族という構成だったんです。


 


倫奈副院長:


それを見て、情報発信も含めて、もっとしっかり小児歯科に力を入れる判断に至りました。その時には子供の患者さんの数も多くなってきたので、キッズスペースではなく、専用のキッズルームを作るなどサービスを強化するとともに、ホームページも小児にターゲットを絞ってリニューアルしました。


 


 


かなり戦略的に運営されていますが、どのような結果につながっていますか。


 


秀雄院長:


狙ったターゲットの患者さんが集まってくださっています。HPを見て、小児治療やサービスに力を入れていると知り、初診でいらっしゃる親御さんが沢山います。託児所も選択の一つになっていると、よく聞きます。そういう方は、お子さんの治療経過を見て、ご自身も通い始めるケースが多いです。お子さんに至っては、ほぼ全員が通い続けてくれます。


 


倫奈副院長:


あとは、口コミですね。お子さんとご自身の治療に満足いただいた方は、ママ友にオススメしてくださるので、患者さんは自然と確実に増えていきます。また、世代をまたいで通ってくださる方もいらっしゃいます。私が一番嬉しかったのは、高校生カップルで当院に通ってきてくれていた二人が結婚して、数年後にお子さんと一緒に来てくれたことです。


 


 


マーケティング活動は、歯科クリニックにとって重要ですか。


 


秀雄院長:


もちろん、かなり重要だと考えています。コンビニよりも多いといわれる歯科クリニックですから、他院と同じことをやって同じ情報発信をしていては、淘汰されてします。


 


倫奈副院長:


情報発信も大切ですし、スタッフの教育もサービス向上という視点で同じくらい重要です。


 


 


これからの課題は事務スタッフにもキャリアの道を示すこと


どのような教育を実施しているのですか。


 


秀雄院長:


教育の前に重要なのは、採用を慎重に行うことです。当院では1回の面接で採用を決定することはなく、何ステップも経て選考します。応募者の方が電話問合せをしてきた時点で選考が始まります。もちろん、電話対応がダメならば、「今は募集していません」とその場で断ります。次に履歴書を郵送してもらい、書類が通れば面接を実施します。面接が通れば、ランチ会を設定します。それが通ればプレ入社を経て使用期間へと、かなり慎重に人を見ています。面接は、院長だけで行っていてはだめで、スタッフにも採用活動にかかわってもらっています。


 


倫奈副院長:


声が小さい人や雰囲気が暗い人は採用しません。それから面談の中で重要視しているのが「何故、前職をやめたのか」という質問に対する答えです。もし、前職の悪口や愚痴が出てくるような人はお断りします。このような選考を踏むことで、質の高い人を確実に採用していくのです。そして初めて入社後の教育となります。当院では、週1回の面接のほか、「お姉さん制度」というものを導入しています。


 


 


具体的にはどういった取り組みでしょうか。


 


秀雄院長:


「お姉さん制度」とは、チューター制度のようなものです。1人のスタッフに1人の先輩がついて、教育に当たるほか、仕事の相談相手にもなります。全てのスタッフにお姉さんが付きます。週1回の面談では、何か困っていることはないかを中心に聞きます。この面談の一番の目的は、スタッフを承認することです。「いつも頑張っているね」「いい仕事をしてくれるね」と声をかけ、面談が“承認に始まり承認に終わる”ように心がけています。


 


倫奈副院長:


10人くらいまでは私たちだけでマネジメントできていましたが、人数が多くなってくるとどうしても目が届きにくなります。それで、どうしたらクリニックをスムーズに運営していけるかを考え、こうした制度を取り入れることにしました。結果として、今ではスタッフ皆がそれぞれ自分で考え、責任をもって仕事を遂行してくれています。


 


 


戦略も教育もしっかりしているので、運営に不安なしという印象を受けます。


 


秀雄院長:


課題もあります。最近でいうと、特に歯科助手や受付業務を担っているスタッフに対して、キャリアアップの道筋を見せる必要があると感じています。医師や衛生士については、技術の向上などで成長を実感できますが、事務系職種になるとそういった直接的に実感するのは難しいですから。


 


倫奈副院長:


全てのスタッフに、輝かしい未来を見せていく、というのがこれからの課題です。


 


 


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