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2024年9月24日(火) 公開

歯周治療における抗菌薬の全身投与と局所投与の注意事項

    • 00:24 〜 抗菌療法
    • 02:15 〜 非特異的プラーク仮説
    • 02:53 〜 特異的プラーク仮説
    • 04:17 〜 生態学的プラーク仮説
    • 08:24 〜 【論文】歯周病治療における抗菌薬の効果
    • 14:10 〜 ヨーロッパ歯周病連盟によるS3ガイドライン
    • 17:03 〜 【症例】51歳 女性
  • 今回は歯周治療における抗菌薬の全身投与と局所投与の注意事項について解説していただきました。 
     
    まず、抗菌療法についてです。 
    歯周炎の治療に使用する場合には、メカニカルな治療法と併用しましょう。 
    非外科的に歯周治療で抗菌薬を併用すると効果は高まる可能性はあるが、臨床的に意義があるかは不明です。 
    抗菌薬の効果は長時間持続しません。 
    抗菌薬が有効な患者はごく少数でほとんどの患者では必要ありません。 
    抗菌薬が有効な患者かどうか、治療前に知ることは不可能です。 
    まずはメカニカルな治療を徹底して行いましょう。 
     
    次に、歯周病の病因論について確認をしておきましょう。 
    かつては非特異的プラーク仮説が主流でしたが、次に特異的プラーク仮説が台頭しました。 
    レッドコンプレックスなどの特定の細菌種よりも、バイオフィルム全体の機能遺伝子がより重要であると考えられています。 
    近年では生態学的プラーク仮説が主流となり、バイオフィルム内の細菌層の乱れ(ディスバイオシス)が重要視されています。 
    メタトランスクリプトームの解析から、細菌叢とその機能を表す遺伝子が細菌叢の組成よりも歯周病の病原性をより正確に示します。 
     
    ある研究では、抗菌薬を併用した場合、アタッチメントレベルやポケットの深さの改善が認められました。 
    しかし、この効果は付加的なものであり、相乗効果ではありません。 
    また、研究結果には地域差があり、患者のコンプライアンスやモチベーションが影響する可能性が示唆されました。 
     
    ヨーロッパ歯周病連盟のガイドラインでは、歯周炎患者に対する抗菌薬の全身投与は日常的には推奨されていません。 
    一方、特定の患者群(若年性歯周炎、全身疾患合併など)では、機械的治療との併用が考慮される可能性があります。 
    しかし、その根拠はオープンであり、コンセンサスは得られていません。 
     
    50歳女性の重度歯周炎症例において、機械的治療に加えて抗菌薬の全身投与を行った結果、良好な治療経過が得られました。 
    しかし、この改善が抗菌薬療法の影響によるものかは不明確であり、機械的治療の影響が大きかったと考えられます。 
    抗菌薬療法は例外的な症例に限定されるべきであり、一般的には推奨されません。 

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