30歳男性・「矯正はしたくない」前歯審美症例 ― ホワイトスポットと歯並び、どこまで補綴で応えるべきか ― #1
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「前歯の見た目は改善したい。でも矯正治療はしたくない。」
日常臨床では、このような要望を持つ患者さんに出会う機会は少なくありません。本症例では、30歳男性の前歯部審美症例を題材に、患者さんの希望と長期的な口腔機能をどのように両立させるかについてディスカッションを行います。
患者さんの主訴は、前歯部のホワイトスポットと歯並びの改善です。一方で、「矯正治療は希望しない」という明確な意思があり、補綴や修復治療のみで対応できないか相談を受けます。診査では、ホワイトスポットだけでなく、前歯部の不適合修復物や隣接面カリエス、歯列不正、咬合関係など、複数の問題点が確認されました。
発表では、矯正治療を行う場合と行わない場合、それぞれの治療プランを比較しながら、補綴のみで歯列を整えることによるメリットと限界を整理します。歯質の切削量や神経への影響、最終的な形態の制約など、若手歯科医師が臨床で悩みやすいポイントについても具体的に検討していきます。
ディスカッションでは、土屋賢司先生が「患者さんが本当に求めているものは何か」を見極める重要性について解説します。患者さんが気にしているのは歯並びなのか、それともホワイトスポットなのか。まずは最小限の侵襲で改善できる方法を提示し、そのうえで補綴治療や矯正治療の必要性を共有していく考え方が紹介されます。
また、補綴治療を選択する前に、模型上でのワックスアップや口腔内モックアップを用いて治療後のイメージを患者さんと共有することの重要性についても詳しく解説。実際にどのような形態になるのかを可視化することで、術者・患者双方が納得した状態で治療方針を決定するプロセスを学ぶことができます。
「患者さんの希望」と「歯科医師として提案すべき理想的な治療」は、必ずしも一致するとは限りません。その中で、長期的な歯の保存を見据えながら、どのように説明し、どのように意思決定を進めていくべきか。本症例は、審美治療だけではなく、患者とのコミュニケーションやコンサルテーションの重要性についても考えさせられる内容となっています。
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