歯周病と糖尿病の相互関係について #2
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2014年に日本の糖尿病患者数は300万人を超えて、過去最高となりました。
う蝕(むし歯)の患者数は約180万人、がん患者数は約160万人です。
300万人という数字からいかに糖尿病の患者様が多いかということが分かります。
糖尿病患者のほとんどの方がHbA1c(ヘモグロビンA1c)を理解しています。
「血糖値はどうですか?」と聞くと、大抵の方はHbA1cの値を教えてくれます。
前回でもお伝えしましたが、糖尿病は血糖値が上がるのが怖いのではなく、合併症になることが怖いのです。
血糖のコントロールとして歯科医院でも治療の時に気をつけなければいけないことがあります。
食事の摂取時間、血糖のコントロールは薬でおこなっているのかどうかという点です。
インスリンそのものを口から摂取して服用することはできません。
インスリンは注射をしないと体内に入れることができないのです。
糖尿病の薬の効果はインスリンの効きを良くし、インスリンの分泌を促すことです。
糖尿病の薬を飲んでいるからといって大丈夫なわけではありません。
合併症も怖いのですが、糖尿病患者様が低血糖状態になることもとても怖いことです。
もし低血糖状態に陥った時、効果的なのは栄養ドリンク剤です。
栄養ドリンク剤はブドウ糖の含有量が多く、すぐに飲めるという特徴があります。
次に歯周病と糖尿病の関係についてお話してくださいました。
血液中に糖が多くなると、赤血球の存在する『ヘモグロビン』や、血管壁に存在する『コラーゲン』などのたんぱく質と結合します。
そして最終糖化産物(AGE)になるのです。
最終糖化産物は異物のたんぱく質で、マクロファージが抗原として認識し、サイトカインが出されます。
マクロファージが認識してしまうということが問題なのです。
歯周組織に最終糖化産物が影響するとコラーゲン繊維(歯肉繊維)が破壊され、白血球の機能低下により歯周病が進行します。
TNF-α(炎症性サイトカイン)の増加により、炎症の強度と長さの指標となるCRP値が上昇します。
こうなると肝機能・糖代謝が低下し、糖尿病が進行・悪化してしまいます。
糖尿病により、マクロファージの機能低下がおきると、結合組織コラーゲンの代謝が異常になります。
血管壁が脆くなることで創傷治癒が遅くなり、歯周病の発症・進行に影響を与えてしまいます。
糖尿病によって、歯周病の関連細菌により感染しやすくなるのです。
特に血液のヘモグロビンをエサにするPg菌が増殖します。
そして炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化するのです。
歯周病治療によってTNF-α産生量が低下するため、インスリン抵抗性が改善し血糖コントロールが好転すると考えられます。
歯周ポケットへの積極的な歯周病治療は、糖尿病の改善が期待できます。
歯周病治療をした1か月後、HbA1c・インスリン抵抗性・血中TNF-αや歯周ポケット内の総細菌数の有意な改善が認められました。
歯周病と糖尿病には相互関係がありますが、一方が良くなったからといって、もう一方も良くなるとは限りません。
糖尿病と全身疾患には関わりがあります。
血管は3層になっていて、外膜・内膜・そしてその間に中膜があります。
内膜に血液が固まらなくなるような物質ができた結果、血管内皮細胞が傷ついて血管がボロボロになっていくのです。
内膜にある血管内皮細胞の働きが非常に重要になります。
糖尿病の患者様は動脈硬化になる爆弾を抱えているようなものです。
炎症は慢性化していく、つまり継続していきます。
負のスパイラルに入って行くのと同じなのです。
こちらの動画は2018年6月23日に開催されたDoctorbook academy DHスキルアップシリーズ「歯科衛生士のための糖尿病セミナー」を映像化したものです。ぜひシリーズでご覧ください。
歯科衛生士のための糖尿病セミナー(土屋 和子先生)
糖尿病患者を診察するときに知っておきたいこと(富田 益臣先生)
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