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【人気動画】BPSテクニックの考え方をベースとした総義歯臨床のポイント

2019年8月26日(月)

目次

BPSとは

BPSから学ぶ優れた義歯製作のポイント

 ①概形印象を広く、大きく採得する

 ②概形印象時に可動域を把握・記録する

 ③簡易咬合採得を実施する

 ④閉口印象の有用性を理解する

 ⑤GoAによる咬合採得の後に咬合の確認・再採得を複数回行う

 ⑥咀嚼中の咬合接触を重視して人工歯排列・咬合調整を丁寧に行う

おわりに

はじめに

大阪大学の松田謙一先生に、BPSの考え方をベースとした総義歯臨床のポイントについてご講演いただきました。

【Part1】全部床義歯はなぜ難しいのか

【Part2】BPSとは何か、その術式とメリットについて《前半》

【Part3】BPSとは何か、その術式とメリットについて《後半》

【Part4】BPSの手法から学ぶ次の一手、優れた義歯製作のためのポイント

一部抜粋してご紹介させていただきます。 

BPSとは

 

BPSとは、「Biofunctional Prosthetic System」の略でIvoclar Vivadent社が開発している有床義歯製作のためのトータルシステムです。

その名の通り、生体から発生する機能運動を重視した補綴を行うというコンセプトで開発されたシステムです。

 

最終印象と咬合採得を同日に行うため、通常の義歯製作のステップより1回少ない来院で義歯がセットできるなどのさまざまな特徴があります。 

BPSから学ぶ優れた義歯製作のポイント

 

BPSの手法を学ぶことにより、通常の義歯製作の手法にも生かせるポイントがあります。 

①概形印象を広く、大きく採得する

 

概形印象時に辺縁形成を行うか否かについては議論のあるところですが、松田先生はそれぞれのコンセプトで必要な要件を理解することが必要であると述べられました。

BPSの概形印象では辺縁形成を行いませんが、その分広い印象域を得ることを目的としています。

 

具体的には豊富なサイズと特徴的な形態のトレー(Accu Tray®)とフローの異なる印象材(Accu Dent XD®)を使用した連合印象を行います。 

②概形印象時に可動域を把握・記録する

 概形印象で必要なランドマークを漏らさずに採得することは言うまでもなく重要なことです。

しかし、概形印象が大きすぎると個人トレーや最終的に出来上がる義歯も大きくなってしまうのではないかという懸念が出てきますね。

そのためBPSでは可動域の記録をルーティンで必ず行います

  

 印象採得後に口腔内の可動域を確認し、その範囲を粘膜鉛筆で印象体へ記入していきます。

 

こうすることにより可動域の情報まで盛り込んだ研究用模型が作製できます。

これだと個人トレーも製作しやすいですし、大きすぎる義歯になるのではという懸念も解消できますね。

BPSに限らずこういったステップを踏むことは重要とのことでした。

動画をみる 

③簡易咬合採得を実施する

 

「いざ咬合採得をしようとしたらひどくⅢ級傾向の強い患者だった…」

そんな経験を持つ先生も多いのではないでしょうか。 

  

BPSでは概形印象のアポイントの際に簡易咬合採得も行います。

 

手順としては咬合高径を決定後、Centric Tray®に印象材を盛り、設定した高径まで咬合させるといったものです。

これをホリゾンタルガイドを用いる方法などによりマウントします。

このひと手間をかけておくことによりおおよその顎間関係の把握ができ、次の咬合採得が非常に楽になります。 

④閉口印象の有用性を理解する

・術者による差が生じにくい

・嚥下を含む運動を用いて辺縁形成を行うため、機能的運動範囲を妨げない辺縁が得られやすい

・義歯の機能時に近い状態で印象を行うことで、機能中の辺縁封鎖を獲得しやすい

・咬合させることができるのでトレーへかかる圧力の方向が一定になる

・歯列を想定した咬合堤を設定することにより、印象時の研磨面の形態も信頼度が高い

閉口印象にはこれらのメリットがあります。

BPSでは閉口印象で最終印象を採得しますが、BPSに限らず閉口印象は有用であると松田先生は述べられました。 

⑤GoAによる咬合採得の後に咬合の確認・再採得を複数回行う

 

松田先生は「全部床義歯の製作において、良く採得された印象はこの上なく重要である一方で、その印象が咬合不良の問題を克服することは出来ない」というSwenson MGの名言を引用され、全部床義歯の咬合採得は難しいが非常に重要なステップであることを強調されました。

GoAを用いたり、複数回の確認を行ったりすることでミスを減らすことができると述べられました。 

⑥咀嚼中の咬合接触を重視して人工歯排列・咬合調整を丁寧に行う

 

BPSの基本プロトコールでは顆路の計測や咬合器の顆路調整は行いません。

それは咀嚼運動中には限界運動である顆路の影響はほとんどないからです。

 

顆路を再現しなくても、咬合器上での調整と丁寧な口腔内での咬合調整によって、大きく義歯が転覆することなく、安定した両側性平衡を付与することは可能とのことでした。

咬合調整の際は、上図のように中心咬合位での接触を中心として、頬舌的に側方位での接触が得られるように行います。 

おわりに

従来の基本的な知識・手技の習得を前提としてBPSを導入することにより、術者による差が生じにくく、比較的良好な結果が得られやすいとのことでした。

また、従来の術式との違いを認識することで、なぜこのような術式が必要なのかなどを考える機会が得られ、それぞれの目的を再認識し、これまでの自分の手技や考え方を見つめ直すことができます。

そういった意味でもBPSは、全部床義歯の臨床・教育において今まさに必要とされている方法のひとつではないか、と松田先生は述べられました。

スペシャル動画ではBPSの詳しい術式を実際の臨床動画も交えながら詳しく解説していただいています。

是非スペシャル動画もご覧ください。

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