【LIVE配信】梅田貴志先生クリニカル・カンファレンス Part2《参加レポート》
目次
Part1はこちら
根管洗浄
根管洗浄には何を使用すべきなのでしょうか。
梅田先生は根管洗浄に用いる薬剤は基本的にNaOClとEDTAの2つで良いと述べられました。
CHXも抗菌作用の高い洗浄液ですが、使用する際は注意点がひとつあります。
それはCHXとNaOClが混ざらないようにするということです。
CHXとNaOClが混ざるとパラクロロアニリンという発がん性物質が発生してしまいます。
粘性が強く、一度発生すると根管内にへばりついて除去するのも困難となってしまうため絶対に禁忌であるとのことでした。
NaOClは抗菌作用と組織溶解性を発揮しつつ細胞毒性に配慮するために2.5%ほどの濃度をお勧めされていました。
また「NaOClは有機質と反応して失活し抗菌性が減少する」というBystromらの論文も引用され、根管洗浄時は新鮮なNaOClを大量に灌流させることも重要であると述べられました。
一方、EDTAは非常に安定した溶液であることと、過度の浸食を避けるために1mlくらいの少量で1分間ほどの洗浄に留めるよう述べられました。
根管充填
根管充填の目的は上のように封鎖と埋葬があります。
感染根管ではこのように複雑な根管形態を鑑みても、機械的拡大や化学的洗浄によって根管内を無菌化することはもはや不可能と言えます。
そこで、除去できなかった感染源を根管充填により埋葬してしまうことが目的のひとつに挙げられます。
封鎖については、実際には根管充填によって漏洩を遮断することはできないという事実を数多くの研究の引用から示されました。
また修復物の質と根管治療の質が根管治療の予後に与える影響を研究したRay,Tropeの論文を引用され、歯冠側からの漏洩によって根管治療の成功率が下がることも示されました。
根管充填法
根管充填のさまざまな方法の紹介の後、Continuous Wave Condensation Technique(CWCT)と Hydraulic Condensation を取り上げ、それらの方法を中心に解説がありました。
CWCTは上に示したような特徴を持つ根管充填法です。
このように切片を見てみるとCWCTではシーラー層が非常に薄いことがわかりますね。
梅田先生のCWCTの臨床動画はこちら↓からご覧ください。
目新しい根管充填の方法としてHydraulic Condensationを取り上げられました。
これはカルシウムシリケート系(バイオセラミックス)シーラーを用いたシングルコーンによる根管充填法です。
さきほど示した根管充填の切片の画像を見てみても、シングルコーンによる根管充填はシーラー層が分厚くなってしまいます。
通常のシーラーは収縮と溶解が起きてしまうため、シーラー層はなるべく薄くすることが求められていました。
しかし、Hydraulic Condensationで用いるカルシウムシリケート系のシーラーは膨張性と難溶解性という特徴を示すためシーラー主体の根管充填が可能になったのです。
この方法により、より保存的な根管形成で十分な根管充填ができるようになりました。
おわりに
ご講演の最後に須田英明先生の論文を引用され、新しい材料や目新しいテクニックなどを追うよりも無菌的処置原則を徹底させることが根管治療を成功に導くためには最も大事であるということを念押しで話されていました。
機械的拡大と化学的洗浄、そして根管充填の詳しい解説に加え、梅田先生ご自身の症例の動画も交えながらのご講演で、非常にわかりやすく知識の整理ができました。
梅田貴志先生、本当にありがとうございました。
松浦 徹
本セミナーは動画でもお楽しみいただけます
【シリーズ】梅田貴志先生:機械的拡大と洗浄の重要性・根管充填
過去のクリニカル・カンファレンス参加レポート
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