
#1 上顎根分岐部病変に対して歯周組織再生療法を行った症例 【期間限定プレミアム公開】
-
- 00:58 〜 村尾健斗先生 自己紹介
- 01:35 〜 歯周外科治療症例発表
- 04:37 〜 右上7番(#17) 歯周外科治療のオペの流れ
- 08:47 〜 術後の経過
- 09:20 〜 左上6番(#26) 歯周外科治療のオペの流れ
- 11:35 〜 術後の経過
- 11:55 〜 オペ後の再評価
- 13:40 〜 村尾先生によるConclusion
- 15:09 〜 右上7番 フラップデザインについて
- 22:00 〜 【Q1】歯間乳頭の厚みのコントロールについて
- 26:31 〜 【Q2】根分岐部のデブライメントについて
- 34:22 〜 【Q3】支台歯形成されていない根分岐部病変へのアプローチ
- 38:37 〜 【Q4】上顎大臼歯根分岐部病変における部位別の難易度
- 43:01 〜 【Q5】マテリアルの選択について
- 47:27 〜 【Q6】歯間乳頭の壊死原因とリカバリー
- 50:22 〜 【Q7】縫合について
-
今回は、村尾健斗先生による「上顎根分岐部病変に対する再生療法を実施した症例」についてのプレゼンテーション及び症例検討会です。
【症例】
初診時において
・上顎右側第2大臼歯(17):近心における根分岐部病変2度
・上顎左側第1大臼歯(26):遠心における根分岐部病変2度、及び頬側根分岐部病変1度
以上を認めた症例です。
徹底的な歯周基本治療後、17において近心根分岐部病変2度、26において遠心根分岐部病変2度、頬側根分岐部病変1度が残存しており、歯周組織再生療法を実施されました。
【手術概要】
・上顎右側第2大臼歯部
フラップデザインにはMISTを採用し、17近心頬側から口蓋側にかけて、および16遠心頬側から口蓋側にかけて歯肉溝内切開を行いました。
歯間乳頭部にはMPPTを採用した切開を実施しています。
徹底的なデブライドメントを行った後、分岐部に対してリグロスおよび骨補填材:サイトランスグラニュールを充填しております。
縫合にはナイロンを使用し、垂直マットレス変法、単純縫合を採用されております。
・上顎左側第1大臼歯
上顎右側第2大臼歯と同様の術式が採用されております。
視認し難い部位のため、ミラーを上手く活用しながらデブライドメントを行われております。
デブライドメント後は、リグロスおよびサイトランスグラニュールを充填し、垂直マットレス変法1針での縫合を実施しております。
【術後の経過】
・上顎右側第2大臼歯
術後5日目から歯間乳頭部において歯肉壊死が認められてしまいました。
歯肉壊死へは徹底的なSPを実施して対応されております。
SPのかいもあり、術後1ヶ月目には歯間乳頭のボリュームも回復してきておりました。
・上顎左側第1大臼歯
術後創部は離開等せず、壊死様の反応も認めず良好な経過をたどりました。
両者共に2年6ヶ月後のCBCT撮影にて十分な骨の回復を認めております。
【ディスカッション】
プレゼンテーション後、以下の疑問点に対して山口先生、高橋先生と共にディスカッションを行っております。
Q1.歯間乳頭を壊死させないためのフラップデザインの工夫・乳頭の厚みの調節はどうすべきか?
歯間乳頭を切開するうえで、壊死を回避する切開線のデザインを考えることは非常に難しいものです。
今回、歯間乳頭幅が2mm以上あるにも関わらず、壊死を引き起こしてしまった原因の一つに、大臼歯部という頬舌幅が非常に長い、という形態的要因が関与しているのではないかと、先生方は考えておられます。
こういったケースに対応する一つの方法として、頬舌的な中心においてSPPF切開を利用するというものが考察として挙げられました。
また、再生療法において乳頭の厚みの設定は、再生のための場をしっかり作るか、血流を確保するかという相反する問題に悩まれることが多いものでもあります。
一度で最適な厚みにしてしまうのではなく、やや分厚く乳頭を剥離し、最終的に適切な厚みへと微調整していく方法が、より失敗しないオペに繋がるのではないか、という考えに先生方皆様納得されておりました。
Q2.困難な根分岐部に対するデブライドメント方法は?
村尾先生は、エンド用のマイクロエキスカやエルビニウムレーザー等、様々な道具を駆使したにも関わらず困難を要したようです。
山口先生が大事にしている考えの一つに、ロータリーインスツルメントを用いて若干分岐部を削りながらでもしっかりとデブライドメントすることが大事である、というものを挙げられております。
また、今後こういった視認性の確保できない場でこそ内視鏡の技術が応用されていくであろう、といった新たな見解を得ることができます。
Q3.支台歯形成されていない歯牙の根分岐部病変へのアプローチ方法は?
支台歯形成がされていない状態であれば、視認性の獲得以前に器具が到達できるか、という問題でさえ生じてしまいます。
こういった場合先生方はどう対処いたしますでしょうか。
今回話題となった対策の一つとして、乳頭を切開しない切開線を考える、というものが挙げられました。
乳頭を切開しないことで、器具の到達が困難になるという難点もありますが、今後の診療技術の発展においては一考の価値がるものであると思われます。
Q4.上顎大臼歯根分岐部病変への治療における部位別の難易度は?
上顎の分岐部病変は、骨欠損の状態においてどの部位でも高難易度の症例となる可能性があります。
一概にどの部位は簡単で、どの部位が困難である、と断定できるものではありません。
そのような部位であるため、術前にどれだけ診査・診断が適切に行われているかということが重要になってきます。
Q5.再生療法におけるマテリアルはどのように選択する?
メンブレンを使用するのかしないのか、どのようなマテリアルを選択するべきか悩む場面は多いと思います。
論文的にはやはりメンブレンの仕様は推奨されています。
ですが、メンブレンが少しでも露出すると感染の可能性が高まるなどの問題もあります。
メンブレンを使用せず、骨補填材を保持、賦形させるコツについても語られておりますので非常にためになります。
Q6.歯間乳頭の壊死原因と適切なリカバリー方法は?
乳頭が壊死してしまうと、どうしてもリカバリーも難しくなってしまいます。
徹底的なSPは効果的な対応の一つであると思われます。
やはり、壊死させない、という対策を取るのが一番ではあります。
より壊死を起こさず、よりオペを高確率で成功させるためにも、乳頭へ悪影響の少ない縫合について学んでみましょう。
上記以外にも、各々の先生方が臨床においてどのように問題に対応されているのか知ることができる、必見の内容です。
今回の村尾先生のプレゼンテーションでは、症例報告の内容だけでなく写真の質も非常に高く、視覚的にも学びの多い動画となっております。
是非動画をご覧になられて参考にしてみてください。
Doctorbook academy
本サイトは、歯科医療に従事されている皆さまを対象に情報提供するサイトです。
あなたは歯科医療従事者ですか?
※一般の方は患者向けサイトDoctorbook をご覧ください
Facebook ログインの確認
Doctorbook academy は Facebook ログインをサポートします。
Facebook アカウントより必要な情報を取得します。
許可する場合、YES を押して Facebook 連携に進んでください。
誤って Facebook ログインを選んだ場合は NO を押してください。