CR修復処置における、トラブルシューティングや、そもそものトラブルを起こさないための予防法について学べます。
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CR修復物周囲の着色や二次カリエス、辺縁部の破折などほとんどが接着不良によって引き起こされます。
このような患者様のお口の中をみた時、皆さんはどのように対応するでしょうか?
この時すぐにやりかえを行うことは得策とは言えません。
まずは「形態修正・研磨」によって今後の方針について作戦を練り直すことも大切です。
それでは、なぜ接着の失敗は生じるのでしょうか。
また、失敗しないようどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。
まず重要な視点は窩洞の外型を考えることです。
内側性の窩洞なのか、外側性の稼働なのかをしっかりと見極めて治療に当たらなければなりません。
また、接着操作においては、アドヒーシブの回数が重要になることがあります。
エナメル質では1度塗りと2度塗りでは大差がありませんが、象牙質においてはそうではありません。
アドヒーシブを2度塗りしたほうが接着強さが向上するとされています。
次に「アクティブ処理」も大切です。
アクティブ処理とは、ボンディングを塗布する際にこするように塗布する方法です。
これによって、接着強さが向上し、確実な接着を得ることができます。
さらに、エナメル質に対しては、リン酸エッチングが欠かせません。
エナメルエッチングをすることで、界面性上が変化し、耐久性に優れた接着を獲得することができます。
エッチング時間は5〜15秒程度が推奨されています。
不要な長時間のエッチングは界面の汚染の原因となり、逆に接着不良の原因になります。
また、象牙質をエッチングしてはいけません。
歯科治療において大切なことは「simple is best」です。
日々の臨床でも常にシンプルに操作を行うようにすれば、最善の結果が得られます。
ぜひ参考にしてみてください。 -
CR修復を行なっている時に「色が合わないな」と思うときはないでしょうか。
これには様々な原因が考えられます。
まずは、歯の色の特性です。
色素立体の中では、歯の色はとても限られた範囲に存在します。
また、人の目の色識別域もあるため、判別できない領域も多数あるからです。
次にCRの物性が原因となる場合もあります。
CRは複合材料であるため、硬化によって色調の変化が生じます。
これは、屈折率の変化によって生じるとされています。
このような変化を的確に捉えるためには慣れが必要です。
このため、迷った時には、歯の表面で一度硬化させ、色調の変化を確認することで解決できます。
また、CRが半透明であるが故に、口腔内の暗い色を透過してしまうこともあります。
このように、裏打ちのない場合、オペーク色のCRで裏打ちを作成し、その上から充填・研磨を合わせることで解決できます。
ホワイトマージンに悩む先生方も多いのではないでしょうか。
ホワイトマージンは重合収縮の影響もありますが、錯視影響によって生じることもあります。
これを解決するためには、明度を合わせることが重要です。
また、浅く広いベベル付与すると、明度が移行的になり、ホワイトマージンが目立ちにくくなります。
ベベルの付与は特に唇側などの審美領域で有効です。
深さや大きさは、3〜4ミリ程度のベベルを付与すると良いでしょう。
これによって、色調適合性を高めることができます。
CR修復時に色調の調和を取るために着目すべきは色ではなく「明度」です。
明日からのCR修復に役立つ情報が盛りだくさんです。
ぜひ一度参考にして、機能だけでなく、審美面でも追求した治療を行いましょう。 -
CR修復で最終的に行う操作である研磨。
研磨をしっかりと行うことで修復したCRはエナメル質様の質感を獲得することができます。
研磨を行うには、被研磨体よりも硬い材料で研磨をする必要があります。
このため、CRを研磨する時は、ダイヤモンド粒子の含まれた専用のポイントを使う必要があります。
ここで、研削と切削の違いは何なのでしょうか?
切削はバーによって行われ、切ることで形を整えていきます。
一方で研削は、ポイント内の砥粒によって削っていくことを意味します。
CR修復後、それぞれのポイントによって、表面性状は異なります。
これらをよく見ると、形態修正時にホワイトポイントを使うと、表面性状が粗く仕上がります。
したがって、光沢が失われてしまうため、ホワイトポイントは形態修正には不向きです。
つまり、CR修復後の形態修正・研磨には、専用のポイントを用いて行うようにしましょう。
実際、研磨方法と表面性状を比較した報告があります。
この報告では、ホワイトポイントが最も表面性状が粗くなります。
一方、コンポマスターやスーパーファインのダイヤモンドを用いることで光沢度や表面性状が最も美しいと報告されています。
つまり、エナメル質様の光沢を得るためにはスーパーファインのダイヤモンドバーやカーバイドバーを用いること
および、研磨にはCR専用の研磨剤を用いること
これらのことが重要になってきます。
さらに、歯の解剖学の知識も不可欠です。
隣接面の移行部や唇側面溝などの自然な形態を付与することも審美的な治療には必要になります。
近年、患者様の審美的な要求は高くなってきています。
より審美的で、ワンランク上の治療を行うために必見の内容です。
ぜひご視聴ください。 -
隣接面の修復を行うときに「マトリックス」は必須と言えます。
しかし、マトリックスの操作に苦慮する場合は少なくありません。
そんなお悩みを解決していきましょう。
まず、コンタクトが強く、挿入が困難な場合があります。
その時には大きく2つの方法があります。
1つ目が、ウェッジを用いて歯間離開を行う方法で、2つ目がセパレーターを用いる方法です。
さらに、エナメル質の最表層は接着には向かないという性質があります。
このため、コンタクトEZと呼ばれるもので、表面を研磨しながら歯間の距離を取ることもできます。
臼歯部の場合はどうでしょうか。
臼歯部の修復の場合はリング状リテーナーやトッフルマイヤーのリテーナーが有効です。
リング状リテーナーを使う場合は、挿入する順序にこだわる必要はありません。
最終的に、ウェッジ、マトリックス、リング状リテーナーが挿入されていれば良いので、順序も工夫するようにしましょう。
また、トッフルマイヤーのリテーナーは、歯冠崩壊が著しく、防湿が困難な根管治療前提の歯の治療に有効です。
このリテーナーを使って、グラスアイオノマーセメントで仮封をすることで隔壁を作ることができます。
したがって、トッフルマイヤーのリテーナーの使い方を今一度かくにんするようにしましょう。
また、トンネル窩洞の場合、マトリックスとウェッジを使って隣接面の修復を行いこともできます。
今回見てきたように、使い方は一通りではありません。
ぜひ、使い方を工夫して使ってみてください。
CR修復をサポートする器具やシステムは多数あります。
今回紹介された器具やシステムを用いて、機能と審美を追求した治療を行うように心がけてみませんか。 -
う蝕処置の治療を行っているとき、歯肉縁下にマージンが来てしまうことは多々あります。
このような時に失敗しないために重要な操作は何でしょうか。
歯肉縁下のマージン部分を緊密に充填するための基本は「歯肉排除」です。
歯肉縁下のう蝕の場合、病巣の除去の前に歯肉圧排を行います。
その後、う蝕病巣を完全に除去し、マトリックスを歯肉と歯質の間に挿入します。
それをリング状リテーナーやウェッジを用いて固定し、修復操作を行います。
この時、隣接面う蝕の場合、アンダーに修復してしまうと、取り返しがつかなくなります。
このため、ややオーバーに充填し、余剰部分を削って行くことが推薦されます。
また、マトリックスをポケット部分に挿入するとき、最も気をつけなければならないことは「出血」です。
出血などがあり、窩洞が汚染されてしまうと、接着力が著しく低下します。
したがって、出血のコントロールが難しい場合は、グラスアイオノマーセメントで暫間的に修復し、後日修復することも重要です。
前歯部のブラックトライアングルを改善したい場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。
このような時は、まず、ブラックトライアングルの大きさを測定します。
その後、隣接面修復用のマトリックスを用いて、歯肉縁下から立ち上げるように修復を行います。
さらに、歯肉縁下のカリエスを修復するには、圧排糸やクランプによって十分な歯肉排除を行います。
また、必要に応じて歯肉切除を行い、病巣の除去、仮封で歯肉を落ち着かせます。
歯肉の状態が安定したのちに緊密な修復を行っていきます。
歯肉縁下の修復治療は日常的に行われるものです。
だからこそ、前準備や歯肉圧排といった基本的で地道な操作が成功の鍵になります。 -
根管治療だけでなく、CR修復のときにもラバーダム防湿は有効です。
CR修復時のラバーダムの最大の利点は「術野の確保」です。
特に上顎の歯を治療するときなどは、より視野が明確になるため、積極的に取り入れるべき手法です。
それだけでなく、臼歯部の操作の時に、呼気の影響を受けなくなります。
このため、接着操作の上で利点が大きいです。
このようにラバーダム防湿を行うメリットは非常に多くあります。
では患者様はラバーダムについてどのように認識しているのでしょうか。
これまでの報告では、ラバーダムによって治療中の安心感が増すを報告されています。
ラバーダム防湿の構成要素の1つにクランプがあります。
クランプは有翼型と無翼型の2種類があります。
また、歯の植立状態によって形が異なるため、適切なクランプの使用が大切です。
それでは、ラバーダム防湿の実際の手法を見てみましょう。
ポイントは、歯間部のラバーの挿入の時にはフロスを用いることです。
また、取り外すときは歯間部に入り込んだラバーを金冠バサミなどで、切断して一塊として取り外すことです。
穴を複数空けることで、多数歯の防湿も容易にできます。
多数歯の防湿を行う時は、あらかじめラバーの端を少し切り取り、ラバーチップとして使うと有効です。
ラバーダムは慣れてしまえば難しいことはなく、数分で防湿が可能になります。
CR修復や根管治療を行う時に一手間加えることで術後トラブルが少なくなることでしょう。
ぜひ、ラバーダム防湿を取り入れてみませんか。
その際に今回の動画は必ず役に立つ内容です。
ぜひ一度ご視聴ください! -
虫歯治療を行うときに、歯髄の偶発的露髄は起こりえることです。
もちろん、偶発露髄を行わないためには、慎重な切削が必要です。
しかし、髄角付近では、歯髄の形態から露髄が生じやすい状況になります。
一般的には、露髄の範囲が2ミリ以下で、止血が得られれば、直接覆髄が可能です。
その場合、覆罩剤を一層塗布し、CRでの修復によって治療することができます。
歯髄の保存の可能性は「歯髄のバイタリティ」と「感染の程度」が重要な要素になります。
歯髄温存療法は大きく、「IPC法」と「直接覆髄法」の2つがあります。
IPC法は深在性う蝕に用いられ、可及的にう蝕病巣を除去したのち、グラスアイオノマーセメントで暫間充填を行います。
直接覆髄では偶発露髄に用いられます。
直接覆髄は2ミリ以上の露髄や止血が困難な場合は、抜髄に移行します。
この場合に用いられる、覆髄剤には水酸化カルシウム、MTA、レジン系の材料が用いられます。
それぞれ特徴があるので、これを機会に再度理解してみましょう。
中でもMTAセメントは、多くの種類があります。
歯髄を温存することは歯にとっては望ましいことです。
これらに影響する因子には「術者の知識」が欠かせません。
術者には、材料学的な知識や使用薬剤についての知識が深くなければなりません。
また、大前提として「マイクロリーケージがない」ことが最重要です。
それらに加えて術者の技量も重要です。
大切なことは、材料の良し悪しではなく、緊密な封鎖こそが歯髄温存において最重要なことです。
治療を行っていれば、様々な歯髄の状態が観察されます。
そのような時に慌てることなく、どのように対応したらよいのかを今回の動画を通して再認識しましょう。参考文献:治る歯髄 治らない歯髄 (著. 泉英之)
参考動画:治る歯髄 治らない歯髄 - 歯髄保存の科学と臨床 - (講師:泉英之) -
術後の痛みの原因の一つに「知覚過敏」があります。
知覚過敏を訴える患者様が来院されたらどのように対応すればいいのでしょうか。
う蝕治療においてもガイドラインがあります。
それによると、深在性う蝕の治療においても、CR修復では裏層は必要ないとされています。
したがって、術後の疼痛の最大の原因は「micro leakage」です。
深在性のう蝕においては、う蝕病巣除去後、裏層をすることなく如何に早く充填するかが肝となります。
素早く緊密に充填することで、重合収縮が小さくなり、歯質とのギャップ形成を予防することができます。
これによって、漏洩を防ぎ、術後の疼痛の予防にもつながります。
知覚過敏の原因は様々です。
最も一般的なものが「動水力学説」です。
これは、様々な刺激によって、象牙細管内のCaイオン濃度は上昇します。
それによって、神経が興奮し、痛みが生じるとする理論です。
知覚過敏へはどのように対応すればいいでしょうか。
その方法は「知覚の鈍麻」と「象牙細管の封鎖」です。
特に、知覚過敏への最も重要なアプローチは患者様のホームケアです。
現在市販されている歯磨剤はたくさんありますが、これらの中でも薬用成分を十分に配合しているものがオススメされます。
う蝕予防効果としては、フッ化ナトリウム配合のものがいいです。
また、知覚過敏の抑制については、乳酸アルミニウム配合のものを進めるといいでしょう。
薬用成分をまとめたリストをご提示いただいていますので、是非チェックしてみてください。
う蝕や歯肉炎の予防だけでなく、知覚過敏の予防でもホームケアが重要です。
ホームケアに頻繁に使用される歯磨剤をうまく使って、術後のトラブルを未然に防ぎましょう。
患者さんと二人三脚で様々な疾患に対応してより良い治療をしていきましょう。 -
宮崎真至先生による「保存修復のトラブル&リカバリー」最終回は、2次カリエスの対処法・予防法です。
修復物周囲には二次カリエスが生じていることが少なくありません。 どのように対応すればいいのでしょうか。
また、自分の行った修復物がこのような二次カリエスにならないようにするには何が大切なのでしょうか。
二次カリエスを発症予防するには、適切な形態修正と徹底した継続的な管理が大切です。
修復時の基本的な操作は通常と変わりません。
こうした一つ一つのステップを着実にこなすことが何よりも二次カリエス予防には重要です。
過去の報告でも、修復物の失敗には材料の物性はあまり関係ありません。
正しい術式、慎重な接着剤の選択が最も重要な因子になります。
二次カリエスはCR修復の中で最も多いやり直しの原因の一つです。
歯頚部カリエスの場合は確実な歯肉の圧排やベベルの付与といった気泡的な対応が大切です。
また、歯頚部の歯肉に近いう蝕病巣の除去には、スプーンエキスカベータを用いることもコツです。
回転切削器具を用いると、歯肉を傷つけ出血の原因になるため、スプーンエキスカベータを使うことをオススメします。
病巣を完全に除去できたら、接着操作をしっかりと行い、充填を行います。
隣接面の場合はどうでしょう。
この場合、あらかじめシリコーン印象材で舌側の型を取っておくと迅速、的確に充填を行うことができます。
隣接面の修復では、病巣を除去したのち、舌側をまず充填します。
その次に、隣接面、最後に唇側の充填を行います。
このようにステップごとに治療を進めることが成功のカギです。
臼歯部の場合も同じです。
二次カリエスの予防には、確実な接着操作と継続的な管理が何よりも重要です。
二次カリエスを起こさないようにするには基本が最も重要です。
これまでの動画を含め、総合的に履修いただき、CR修復マイスターになりましょう。
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