【人気動画】インプラント周囲炎の真実!〜予防術とアプローチ方法の極意〜
インプラント周囲炎の真実!〜予防術とアプローチ方法の極意〜
今回の動画は東京都でご開業の歯科医師、小柳達郎先生が、インプラント周囲炎について深い部分まで掘り下げ、予防方法やアプローチ方法などを大変貴重な内容を丁寧にわかりやすく解説してくださっています。
未開拓な部分が多いインプラント周囲炎についてエビデンスベースでさらに、対策を端的お話ししてくださっているので、インプラント治療に関わる全ての歯科従事者に見ていただきたい動画となています。
現在インプラント治療にすでに関わっている方、今後関わっていく予定のある方は、ぜひ一度ご覧になってみてください!
第1章 インプラント周囲炎と歯周炎の細菌叢
◆歯周炎とインプラント周囲炎の違い
●歯周炎の場合
歯周炎とは、プラークが蓄積し、その上に病的細菌叢が形成され、炎症反応、ポケットの深化、骨破壊が起こり、放置してしまうことでやがて抜歯に至ってしまうという病変です。
●インプラント周囲炎の場合
インプラント周囲炎も歯周炎の過程と類似しています。炎症反応、ポケットの深化、骨破壊が起こる病変です。
歯周炎とインプラント周囲炎が多な違いは…
インプラント周囲炎の方が歯周炎よりも進行速度が極めて速いということなのです!
◆インプラント周囲炎の割合
インプラント周囲炎のさまざまな合併症のうち、インプラント周囲炎は約2割ほどの割合となっています。さらに、インプラントの施術をした方のうちどのくらいの割合の方がインプラント周囲炎に罹患しているかというと…
インプラントの施術後5年経過した症例を対象としたケースでは、
インプラント周囲粘膜炎(歯周病でいうと歯肉炎の状態)の場合、患者レベルで80%、インプラントレベルで50%でした。
そしてインプラント周囲炎の場合、患者レベルで28%〜56%、インプラントレベルで12%〜43%という結果でした。
かなり高い割合でインプラント周囲粘膜炎インプラント歯周炎に罹患しており、衝撃を受けた結果でした。
さらに小柳先生の動画では、その後の研究結果や日本人に限った研究結果なども詳しく解説してくださっています。
ぜひご覧になってみてください!
第1章 インプラント周囲炎と歯周炎の細菌叢
◆インプラント周囲炎と細菌叢
アメリカの歯周病学会の中では、「インプラント周囲炎は、細菌叢が原因」で起こる病変であるという認識がされています。
●インプラント周囲炎の細菌叢
アメリカの研究では、下記の研究結果より、インプラント周囲炎の細菌叢は、歯周病の細菌叢だけではなくインプラント周囲炎特有の細菌叢が関与している可能性があるという結果を発表しています。
・インプラント周囲炎の細菌叢から検出されたのは、「staphylococcus aureus」という金属との感染や全身に感染を引き起こす細菌でした
・インプラント周囲炎では、歯周病原細菌が60%の部位で検出された。一方で、55%からはブドウ球菌、腸内細菌、酵母といった歯周病原細菌以外の細菌も検出されている
・インプラント周囲炎では、真菌やウイルスが検出された
さらに小柳先生のグループでも細菌叢について研究していた結果、インプラント周囲炎と歯周炎では、機能遺伝子が類似しており、進行過程での細菌の関わり(代謝経路)も類似していることが分かりました。
しかしインプラント周囲炎と歯周炎では異なる点も発見されました。
インプラント周囲炎は歯周炎と比べ、より複雑な細菌叢を示しました。細菌同士の関わり方も異なり、歯周炎とインプラント周囲炎ではコアとなる細菌が異なることも分かりました。
小柳先生の動画では、さらに詳しい研究結果や細菌叢について紹介してくださっていますのでぜひご覧ください。
◆インプラント周囲炎のリスクファクター
上の画像はインプラント周囲炎のリスクファクターを示した画像となります。インプラント周囲炎も歯周炎も細菌叢が大きな原因となるため、口腔清掃不良や歯周炎の既往が強いリスクファクターとしてあげられています。
過去には喫煙や糖尿病も強いリスクファクターとしてあげられてましたが、現在では強いリスクファクターとは言えないという見解があるようです。
特に歯周病の既往はかなり強いリスクファクターとなっており、歯周病の重症度によってインプラントの生存率は低下するという研究結果が出ています。
◆インプラント周囲炎の予防方法
インプラント埋入10年後の研究結果を評価すると、歯周炎既往者はインプラント歯周炎に罹患しやすく、高いモチベーションと適切なSPTが必要不可欠であると言うことが分かってきています。
さらに他の論文では、下の画像のように歯周炎の既往歴というより健常な歯周組織を保持することがインプラント歯周炎のリスクを減少させる、また、6mm以上のポケットが一箇所でも存在するケースでは歯周炎のリスクが高くなるとい結果が発表されています。
小柳先生は、歯周病の既往や歯周病はインプラント周囲炎のリスクを増大させるものではありますが、徹底した正しい歯周治療を行うことでインプラン歯周炎のリスクを減らすことができるのではないかとおっしゃています。
◆インプラント周囲炎の治療法
下の画像のように、インプラント治療においてプロービングやX線はかなり信頼性が薄いという結果がでています。
そこでインプラント治療においては、天然歯と比較した場合にBOPの信頼度が高いという報告があります。
そのため、インプラント治療においては、まずインプラントの状態をBOPで見ていきます。BOPがマイナスであればそこには炎症がないということなので基本的なメンテナンスを行なっていきます。
そしてBOPがプラスである、もしくはマイナスであるけれどプラークが存在する場合においては下の画像のようにそれぞれに適切な処置を行なっていきます。
◆インプラント周囲炎の症例
【症例1】
●69歳 女性 インプラントと歯周病の治療希望
●約10年前にインプラント埋入するも下顎左側インプラント以外は全て撤去となってしまった
●今回は残っている下顎左側インプラントからブラッシング時の出血と、稀に主張するとのこと
インプラントは3本埋入されている状態で、BOPはプラス、ポケットも6mm以上という結果でした。先ほどの画像に当てはめていき、骨吸収もないことが判明したため、適切な口腔衛生指導やイリゲーションなど行なっていきました。
その結果、上の画像のようにポケットは4mm、BOPマイナスまで改善させることができました。しかし口腔前庭が浅く狭く、プラークが溜まりやすい環境であることから、口腔前庭幅を広げ歯ブラシをしやすい環境にするため、口腔前庭拡張術を行いました。
そして、再評価を行い、BOPはマイナス、プラークもマイナスまで改善させることができました。(下の画像参照)
小柳先生の動画ではその他の症例も分かりやすく解説してくださっています。ぜひご視聴ください!
第2章 インプラント表面の除菌方法
◆インプラント表面の除菌
インプラントではBOPで評価しますが、そこに細菌検査を併用することでさらにBOPの精度が上がることがわかってきています。(下の画像参照)
そのため小柳先生は、再評価の際には細菌検査をプラスして行うことで、精度を向上させられるのではないかとおしゃっています。詳しいインプラント表面の除菌については、小柳先生の動画にて実際の臨床写真を用いて分かりやすく解説してくださっていますのでぜひご覧ください。
◆インプラン周囲炎についてのまとめ
●患者さんそれぞれのリスクを評価することが大切!リスクがないからといってメンテナンスを怠ることは禁物ですが、リスクの有無は徹底的に見ていく必要があります。
●徹底した歯周病のコン徹トロールが重要!歯周病に再発、残存している方はインプラント周囲炎も悪化、罹患しやすくなるため、できる限りインプラント埋入前から徹底的な歯周病治療を行なっていくことが大切です。
●もしインプラント周囲炎に罹患してしまった場合でも、早期発見早期治療をして、病態をわかるようにしておくことが重要です。
●インプラント周囲炎を早期発見することができた場合には、早期介入をしてしっかり治療を行なっていくことが大切です。しかし効果が認められない場合には、撤去することも十分な選択肢としてあげられます。
最後に…
今回は、東京都でご開業の歯科医師、小柳達郎先生の動画「インプラント周囲炎の予防とアプローチ」より「インプラント周囲炎の真実!〜予防術とアプローチ方法の極意〜」を紹介させていただきました。
インプラント治療を行われている方、今後行なっていく予定のある方に、エビデンスベースでとても分かりやすく、臨床現場でかなり役立つ動画となっておりますのでぜひご覧ください!最後までご一読いただきありがとうございました。
【インプラント周囲炎の予防とアプローチ】
第1章 インプラント周囲炎と細菌叢
第2章 インプラント表面の除菌法