土屋賢司先生 症例100本ノック 第13回 PART4
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土屋先生からの参考症例を見てみましょう。
長年の経験を積み重ねている土屋先生だからこその、貴重な症例を供覧していただきました。
経験豊富な土屋先生であっても、治療に苦慮することはたくさんあるようです。
今回は貴重な参考症例を見ながら、「咬合力」についてより深く考えていきましょう。
症例は38歳女性、前歯部の腫脹を主訴に来院されました。
左上2の頬側根尖部相当部にサイナストラクトを認めました。
土屋先生はこのサイナストラクトを咬合が原因となったと考え、根管治療を行い、プロビジョナルレストレーションに置換しました。
数か月後、サイナストラクトは消失しましたが、前歯部の離開を認めるようになりました。
ではなぜ離開が生じたのでしょうか?
咬合をよく見ると、水平位と座位とでは咬合が異なっていることが分かります。
今回の症例では、ポイントセントリックが欠如している可能性があります。
このように補綴治療、矯正治療を行う時も常に顎運動を考慮しなければなりません。
土屋先生の参考症例のように、臼歯部が欠如したために、前歯部が離開してしまうこともあります。
part3での症例でも、しっかりと顎運動を診査し、ただ欠損部分を補綴するだけでなく、全体を把握する必要があります。
またこのような場合では、連結することは有効な気もします。
しかし、実際は違います。
連結する理由は、歯周補綴、歯冠歯根比が悪い場合、動揺がある場合が挙げられます。
今回の症例はそのような適応はないので、連結する必要はありません。
連結冠も気を付けなければ連結部分が破折する可能性もあります。
それくらい、咬合力はコントロールしなければならない力です。
経験豊富な土屋先生の参考症例から、少数歯欠損であっても気を付けなければならないことがたくさんあることを再認識しましょう。
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