【連載】新しい世代のボンディング材が拡げる臨床 #01 ~Ⅴ級窩洞にスコッチボンド ユニバーサルアドヒーシブを用いた一症例~

2017年7月25日(火)
提供:スリーエムジャパン株式会社

1.バイオフィルムの存在


齲蝕はバイオフィルムを構成する細菌により引き起こされる.



バイオフィルムは成熟することで,齲蝕の原因となるS.mutans をはじめとする好気性菌主体の環境から,歯周病原細菌など嫌気性菌の混在する細菌叢へと変化していく.ゆえに,歯頚部齲蝕においては,隣接する歯肉に炎症を伴うことが多い.



また歯周病患者では,歯肉の退縮に伴い歯根面が口腔内に露出する.エナメル質に覆われている歯冠に比べ,歯根は耐酸性が低いため,歯肉辺縁に齲蝕を発症しやすい.




※スコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブは,1 ボトル・1 ステップ・セルフエッチングシステムなので本ケースのようなラバーダム防湿が困難なⅤ級窩洞の修復でも,短時間で簡便に処理することができる。

 


2.歯頚部齲蝕のポイント


日々,臨床に追われているわれわれ歯科医師は,齲蝕を見つけると,直ちに修復処置に移ってしまいがちである.しかし,歯頚部齲蝕では歯肉辺縁に炎症があれば,出血や歯肉の腫脹により適切なコンポジットレジン充填を行うことが困難となるので,歯周組織の健康を取り戻してから齲蝕治療を行うことが重要である.これにより材料本来の性能を十分に生かしたコンポジットレジン充填を行うことができる.いくらスコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブが優れた接着性能を示すとしても,窩洞に血液が混在しては,その秀でた接着性能を十分に発揮することはできない.



歯面からプラークが除去され,患者が適切なブラッシングを行えば,歯肉炎は消退する.また,治療後に再び齲蝕を発症しないようにするためにも,齲蝕がバイオフィルムによって引き起こされることを患者自身が知り,適切なプラークコントロールを覚える必要がある.



術者においても,コンポジットレジン充填後の審美性もさることながら,やはり齲蝕の再発防止に努めなければならない.コンポジットレジンと歯質にギャップがあると細菌に足場を与えてしまうことになるので,コンポジットレジンによる窩洞の適切な辺縁封鎖は必須である.健康を取り戻したいという患者の期待に応えるためにも,われわれは常にベストを尽くすべきである.



筆者は30年来 3M 製品を使用しているが,充填後の経過も良好であり,二次齲蝕やコンポジットレジンの脱離の頻度はきわめて少ない.本製品においても良好な長期臨床成績が得られると期待している.


 



3.【Case】Ⅴ級窩洞のコンポジットレジン修復




(1) 初診.検診希望にて来院.プラークコントロールが不良で,歯頚部には齲蝕が認められる.プロービング時に辺縁歯肉より出血.齲蝕の処置に先駆け,まず歯肉の炎症のコントロールを開始する


(2) スケーリング.術者による縁下縁上のプラークコントロール.炎症のコントロールが確認されるまで齲蝕の処置は避ける.Ⅴ級窩洞でラバーダム防湿が困難なケースでは初期治療は必須である


(3) ブラッシング.縁上のプラークコントロールは主に患者にゆだねられる.患者にプラークコントロールの必要性を理解してもらい,ブラッシング指導を行う.プロービング時の出血がなくなり次第,齲蝕治療を開始する




(4) 齲蝕除去.歯肉炎の消退後,麻酔下にて窩洞形成を行う.歯肉の損傷を防ぐため,LM- ジンジバルリトラクター(白水貿易)を用いた


(5)
 ボンディング.齲蝕を完全に除去後,乾燥し,スコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブを塗布する.その際,重合を阻害するエタノールは弱圧のエアによりしっかりと蒸発させてから,光照射を行う


(6)
 CR 充填.フィルテック TM シュープーム XTE コンポジットレジン A3E(3M)を充填.カプセルより直接充填するため,操作性がよく,気泡やその他の不純物が入りにくい


(7)
 充填処置.LM- サービカルマトリックス(白水貿易)を使用し,広い範囲をプレスすることで,より緊密な充填が期待できる.ペーストのレジンを充填する際は十分に圧をかけ,しっかりと歯面に押し付けることが肝要である


(8)
 形態修正.ホワイトポイントを用いて形態修正を行う.形態修正後,コンポジットレジンのオーバーハングを生じないように十分に診査する


(9)
 研磨.ソフレックス TM XT 研磨ディスク(3M)を用いて研磨を行う.ディスクにしなりがあるため,細かいところにも器具が到達し,研磨をすることが可能である


(10)
 充填処置10 日後.プラークコントロールは良好で辺縁歯肉は安定している.齲蝕処置にあたり,なぜ治療が必要になったか,その原因を説明し患者に理解してもらうことが大切である



 



弘岡秀明(Hideaki Hirooka)
東京都・スウェーデンデンタルセンター,東北大学大学院臨床教授


 


歯界展望 Vol. 122 No. 3 2013―9


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#07   宮崎真至先生   ~スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブの各種被着体に対する接着性とその信頼性~ 


4.資料請求


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