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【最終回】新しい世代のボンディング材が拡げる臨床 #07 ~スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブの各種被着体に対する接着性とその信頼性~

2017年9月12日(火)
提供:スリーエムジャパン株式会社

 


1.はじめに


接着システムの被着対象は,歯質以外にもメタルあるいはセラミックスなど多様となり,被着体ごとに異なる前処理が必要とされていた.スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブは,歯質接着はもちろん,金属およびセラミックスに対しても前処理材の塗布を不要としながらも,高い接着性を示す接着システムである. 



2.歯質に対する接着性


 歯質接着では,脱灰部への機械的嵌合と,歯質のハイドロキシアパタイトとの化学的接着性が重要となる.


 


エナメル質接着は,被着体のほとんどが無機質であるために容易とされるが,象牙質は有機質と水を多く含むために比較的困難とされていた.スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブは,HEMA,Vitrebond コポリマーおよび水分の組成バランスによって,脱灰象牙質の乾燥の有無にかかわらず浸透することで,エナメル質同様の高い象牙質接着強さを発揮している(図1).機能性モノマーは,親水性基と疎水性基とをバランスよく分子骨格中に配置しているモノマーであるが,なかでもMDP はハイドロキシアパタイトとの反応性が高く,安定した歯質接着性に寄与している.


 


図1 異なる被着体に対する各接着システムの接着強さ


3.金属およびセラミックスへの接着


 接着システムの応用は,歯質に留まらず歯科用合金およびセラミックスへも及んでいる.メタルやセラミックス接着のための表面処理は,微小機械的維持と直接接着型表面処理とが臨床的に頻用されている.機械的改質の代表的なものとしては,被着面に直径約50 μm のアルミナ粒子を0.1 ~ 0.5MPa 程度の圧力で数秒間吹きつけるサンドブラスト(airborne-particle abrasion)処理があげられる.この処理によって,粗面が形成されるとともに接着に適した清浄面が露出される.


また,直接接着型表面処理としては硫黄系,リン酸エステル系あるいはカルボン酸系のメタルプライマー,そしてセラミックスにはγ -MPTS を主成分としたシランカップリング材が塗布され,機械的嵌合とともに化学的反応性が獲得される.しかし,セラミックスのうちでもSi(ケイ素)を含有しないアルミナやジルコニアなどへの接着には,γ -MPTS は有効に作用しない.そこで,スコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブでは,歯科用合金とともに多くのセラミックスに対する接着性の向上に寄与する機能性モノマー(MDP)を含有している.


もちろん,γ -MPTS を配合することによってガラスセラミックスへの接着も可能としており,これによって多くの被着体に対して安定した接着性を示しているのである(図1).


4.Case ホワイトニングによって色調不適合となった症例のダイレクトラミネート修復


コンポジットレジンと歯質を最小限に切削した後,セラミックプライマーなしで接着できるスコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブで処理し,フィルテックTM を用いて最大限の審美性を得た


 



1-1 矮小歯をダイレクトボンディングで修復したが,その後に患者の希望でホワイトニングを行ったため,当該歯である側切歯の明度が低下してしまった



1-2 歯肉圧排を行い,唇側のレジンを除去する.この時,隣接面にはコンポジットレジンを一部残留させることで,コンタクトの調整という操作を省くことができる



1-3 エナメル質とともに残存コンポジットレジンをエッチングする



1-4 水洗,乾燥後,スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブを塗布する.歯質に対してはもちろん,コンポジットレジンに対しても,含有するシランカップリング材の効果で接着が獲得できる



1-5 フィルテック シュープリーム ウルトラフローのXW をライニングとして用いた後,フィルテック シュープリーム ウルトラのA1B を填塞する.充填器はMM Resin Creator を用いると,操作が容易である 



1-6 平筆(ユニブラシNo.4,松風)を用いて,表面形態を整えるのがコツである 



1-7 形態修正にはカーバイドバーを用いる.コンポジットレジンの形態修正用に,MM Composite Finish(モクダ)などのキットがある



1-8 色調が改善し,患者の満足度も良好である.このように,ダイレクトボンディングの利点として補修が容易なことがあげられる 


 


宮崎真至(Masashi Miyazaki)


日本大学歯学部保存学教室修復学講座


 


歯界展望 Vol. 121 No. 4 2013―4


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5.資料請求


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