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【連載】新しい世代のボンディング材が拡げる臨床 #04 ~セラミッククラウンのリペア~

2017年8月22日(火)
提供:スリーエムジャパン株式会社

口腔内に充填あるいは装着した修復物がトラブルなく長期経過することは,患者・術者の双方にとって望ましいことである.


しかし,実際の臨床では自身で行った治療あるいは他の歯科医師が行った治療のリペアを行う機会も少なくない.代表的なリペアにはセラミッククラウン(メタルボンド,オールセミッククラウン)やレジン(硬質レジン,ハイブリッドセラミック)のリペアがあるが,本稿では新しく発売されたスコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブを用いたセラミッククラウンのリペアについて紹介する.


 



1.修復物のリペア


破損した部分(セラミックス材料やレジン材料)をリペアする際は,一般的にコンポジットレジンを用いて行うが,被着面にある材料によって行わなければならない接着前処理が異なるのがこれまでのリペアの工程である.セラミッククラウンであれば,リペアする被着面に露出した材質の違い(長石ポーセレン,酸化アルミナ,ジルコニア,メタルフレーム等)によって,エッチング材やプライマーの種類,ステップを変えなければリペア時の高い接着力が得られないこともある.また,これにより臨床術式が煩雑になるため,さまざまなテクニカルエラーが起きる危険が高いと考える.


このようなリペア前の煩雑な接着前処置を1ステップで行える製品がスコッチボンドユニバーサル アドヒーシブである(図1-11-2).



図1-1 │4 は約5 年前に他院で行ったクラウンで,リペアを希望して来院.本症例のように被着面にレジン,金属,歯質の3 種類が存在しているような症例では,大幅にチェアタイムを短縮することができる


 


図1-2 複数の被着体に対して,スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブのみで接着処理ができるため,短時間でリペアを行うことが可能である(コンポジットレジン:フィルテックTM シュープリーム XTE コンポジットレジン A3D とA2E 使用)


 


2.スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブ


本製品はVitrebondTM コポリマー(象牙質に接着),MDP モノマー(エナメル質,象牙質,金属,ジルコニア,アルミナに接着),シランカップリング材(ガラスセラミックス,コンポジットレジンに接着)の3 種類の接着成分が含有されているため,あらゆる被着体に用いる場合でも,エッチングやプライミング等の前処理なしで十分な接着が行えるのが最大の特徴である.


これにより,これまでセラミッククラウンのリペアの際に行っていた,リン酸エッチング,シラン処理,ボンディング処理といった複数の前処理を1 ステップに簡略化することができる.また,簡略化と引き換えに,十分な接着力が得られないのではないかという懸念があったが,宮崎真至教授(日本大学)の実験データによると「複数の前処理を行った場合と比べて同等もしくはそれ以上の接着力が得られる」ことが示されており,各種リペアを行う際に本製品を用いることによって得られる恩恵は大きいと考える.


本稿では,セラミッククラウンのリペアを中心に紹介したが,リペアだけでなく,通常のダイレクトボンディングや知覚過敏時の象牙質コーティング等の処置を行う際にも,スコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブ1 本で対応できるため,治療ステップの簡略化だけでなく,医院の製品管理の簡素化やコストの削減にもつながると考える.


 



3.Case オールセラミッククラウン破折リペア



1-1 約2 年前に装着した 1│1 のオールセラミッククラウンであるが,│1 近心隅角部にポーセレンの破折を認めた



1-2 鋭利なセラミックの破折面をダイヤモンドバーにて一層削合し,大きな凹凸をなくす.また,接着面積を大きくするため,コンポジットレジン充填時に付与するようなベベル形成も行う



1-3 スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブ.1 ボトルタイプで,容器のキャップが一般的なネジ式の分割タイプではないため,片手での開閉が容易である



1-4 被着面へのスコッチボンドユニバーサル アドヒーシブの塗布.適度な粘稠度であるため,狭い部分へも容易に塗布することができる



1-5 ボンディング材が薄く均一になるように,しっかりと弱圧でエアブローを行う



1-6 10 秒間光照射を行う.一方向からでは光が到達しづらい部位があるような場合には,別な角度からも光照射を行う



1-7 コンポジットレジン充填.本症例では,フィルテックTM シュープリーム XTE コンポジットレジンのA1E を使用してリペアを行った



1-8 リペア終了時.リペアの痕跡を残すことなく処置を完了することができた.患者は夜間だけでなく日中もブラキシズムを有しているため,再度マウスガードの使用をすすめた


 



大谷一紀(Kazunori Otani)


東京都・大谷歯科クリニック


 


歯界展望 Vol. 121 No. 4 2013―4


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#03 富士谷盛興先生 千田彰先生 ~ボンドタイプ最強の知覚過敏抑制剤~ 


#04   大谷一紀先生   ~セラミッククラウンのリペア~


#05   日野浦光先生   ~コンポジットレジン修復物のリペアの一症例~


#06   松本和久先生   ~スコッチボンドTM ユニバーサル アドヒーシブ ユニドースタイプの特徴と有用性~


#07   宮崎真至先生   ~スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブの各種被着体に対する接着性とその信頼性~  


4.資料請求


本コラムで取り上げられている「スコッチボンド ユニバーサル アドヒーシブ」に関する資料請求が可能です。
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本企画は2017/10/1をもって終了いたしました。お問い合わせは info@doctorbook.jp までご連絡願います。




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