上顎総義歯の人工歯排列が下顎総義歯に与える影響について#5
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これまでは上顎総義歯のみの視点から学んできましたが、今回は下顎総義歯についても触れていきます。
下顎総義歯は、頬粘膜と舌によって義歯を抑えることで安定します。
そのためには、人工歯を床の中央に排列する必要があります。
人工歯が舌側寄りに排列されてしまうと、床の厚みが不足して筋圧維持が得られず動きやすい義歯になってしまうのです。
下顎の人工歯排列では、パウンドラインというキーワードがあります。
パウンドラインは現在でも下顎人工歯排列のスタンダードとなっています。
パウンドラインを基準にして排列を行うと、やはり人工歯は床の中央に存在することになります。
では、なぜ下顎の人工歯が舌側に寄って排列されてしまうのでしょうか。
その原因は上顎総義歯にあります。
上顎の顎堤吸収は、顎堤が内側へ移動していくことをこれまでの講義で学びました。
一方、下顎の顎堤吸収はほぼその位置を変えずに吸収していきます。
その結果、上顎の吸収した顎堤頂の頂上に人工歯を排列すると、下顎は舌側よりに排列しないと咬合関係が狂ってしまうのです。
これを防ぐには、本講義で学んできたように上顎総義歯の頬側のデンチャースペースの回復が重要となります。
デンチャースペースを回復すると、人工歯を頬側寄りに排列しても筋圧維持によって義歯は安定を得られます。
つまり、上顎総義歯のデンチャースペースの回復は、下顎総義歯の安定にも影響を及ぼすのです。
今回の講義では再度、コピーデンチャーによる上顎総義歯作成の症例を動画で復習していきます。
義歯の作成において大切なことは- 1.咬合面
- 2.義歯辺縁の研磨面(デンチャースペース、おやまの法則)
- 3.内面(粘膜面)
の3つです。
内面は完成時にリベースで調整することもできるので、咬合面と研磨面の優先度が高くなります。
今回の講義を参考に、ぜひ明日からの臨床に取り入れてみてください。 - 1.咬合面
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