Part2のテーマは「ライフラインチャートを用いた診療プロセスの再構築」。患者の過去と現在を可視化し、診断・治療における意思決定の根拠をより明確にするための手法が紹介されています。

松浦先生は、15歳の頃に自身が矯正治療を受けた体験を起点に、歯科に対する興味を深めた経緯を振り返ります。その経験が、のちに臨床家としての姿勢や患者理解の礎となっていることが語られました。

講演では、患者の人生背景や発達過程を把握することの重要性に焦点が当てられています。特に、来院時点での口腔内の状態だけでなく、生活環境や治療歴、成長段階などの情報を時系列で整理する「ライフラインチャート」の導入により、治療方針の選定に一貫性と説得力が生まれる点が解説されました。

また、口腔機能や咀嚼・嚥下の発達不全といった見逃されやすい要素にも目を向け、患者の全体像を踏まえた診療の在り方が提示されます。歯列不正や姿勢の問題、呼吸機能との関連性についても臨床例を交えて解説され、包括的診断の実践的意義が明らかにされました。

後半では、複数の症例をもとにライフラインチャートを活用した診断プロセスが紹介され、どのように患者のニーズに応じたアプローチを選択するかが具体的に示されています。

本講演は、ただ口腔内を診るだけでなく、患者の人生全体を捉える視点を持ち、より深い診療を目指す歯科医師にとって大きな示唆となる内容です。

【コンセプト】
「医療者の多様性のあるキャリア」を探っていくトークセッション。

【ゲスト】
合同会社House Call Agency代表
松浦 京之介先生

【MC】
株式会社Doctorbook
堀元 偲緒里