第12回:次世代の歯科医師に贈る、ジェネラリスト育成講座《内山徹哉先生》
はじめに
第12回ではシェードテイキングや、各種マテリアルについての解説、その選択法についてお話ししていただいています。
Part1:Shade Taking
Part2:マテリアル
Part3:Zirconia Crown適応症
Part1 Shade Taking
シェードテイキングにおける写真撮影においてどのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。
内山先生は一眼レフのカメラを使用し、ストロボはリングタイプとツインタイプを使い分けることをお勧めされました。
臼歯部では、口角による干渉が起きやすいためツインストロボだと光が届きにくく、写真が暗くなりがちです。
そういったときは、リングストロボで撮影すると明るくはっきりとした写真が撮りやすくなります。
逆に前歯部では、リングストロボだと正面の前歯部で光が反射するため歯の細かいニュアンスがわかりにくくなります。
光源を両サイドに持つツインストロボを使用することにより、歯のラインアングルをきれいに表現できるようになります。
また、内山先生はディフューザーやバウンサーを使用することで、さらにこだわった写真を撮っているそうです。
シェードガイドと対象となる歯が同じ距離になるように撮影していきます。
また、撮影した写真をKeynoteを用いてシェード確認する方法についても解説していただいています。
Part2 マテリアル
マテリアル選択についての内山先生の考え方について様々な観点からお話しいただきました。
メタルセラミックは成功率が高く、素晴らしいマテリアルだとしながらも内山先生は最近あまり使わなくなったそうです。
その理由も含めて、ジルコニア、プレスセラミック、メタルセラミックを比較したメリットとデメリットについて詳しく解説していただいています。
例えば歯質削除量についてです。
ジルコニアやプレスセラミックの歯質削除量は、従来のメタルセラミックのそれよりかなり少なくできるようになってきています。
生活歯では歯髄保護の観点でも削除量は少ないに越したことはありません。
内山先生は現在の削除量の少ない形成を行うようになってから、術後の知覚過敏などの不快症状がかなり減ったとのことでした。
ナイフエッジのような形成の場合、マージン設定やプロビジョナルのコントロールなど技術的な難易度は高いですが、得られるメリットもその分大きいと言えそうです。
e.maxについても詳しく解説していただきました。
2013年のLi Maらによると、エナメル質に接着した二ケイ酸リチウムアンレーの耐荷重能力はジルコニアの75%近くになる可能性があるとされています。
物性として、二ケイ酸リチウムの曲げ強度が400MPaでジルコニアの曲げ強度が1000MPaであることを考えても、エナメル質にサポートされ強固に接着された二ケイ酸リチウムは多少薄くても高い強度を持つことがわかります。
そのためにはしっかりとしたプロトコールで歯質と接着させることが重要であることは言うまでもありません。
内山先生は動画で詳しくそのプロトコールについても解説されました。
ジルコニアについてはどうでしょうか。
従来のジルコニアは、強度があるものの単体では透明感に欠け審美性がいまひとつでしたが、徐々に改善され最近のジルコニアは透明感も出せるようになりました。
それに伴いジルコニアフレームワークも以前と比べるとシンプルにできるようになるケースが多くなっています。
上の写真ではおよそ10年前のケースと比較していますが、2009年のものはかなり複雑なフレームワークで驚かされます。
Skip Methodを用いてプロビジョナルからファイナルへと移行するテクニックについても解説していただいています。
また、ケースによってどのマテリアルを選択するかの内山先生の基準についてもお話ししていただきました。
マテリアルの選択肢が増え、ケースによってどれを選択するかが重要になってきています。
各種マテリアルに対する考え方を整理するのに適した内容になっていますので是非ご覧ください。